間取りの打ち合わせの際に窓の種類や配置についての話が出てくるかと思います。
設計士は建築基準法や安全性など様々な視点から窓を選択し配置しますが
本当にこの窓で良いのか納得した状態で家づくりを進めたいですよね。
今回は窓の種類と特徴、メリット・デメリットを解説していきたいと思います。
住宅で使用される窓の種類は一般的に下記の6点です。
・引違い窓
・上げ下げ窓
・横すべり出し窓
・縦すべり出し窓
・内倒し窓
・FIX窓
引違い窓
特徴
引違い窓はガラス面が2枚あり左右に動かして開閉する窓です。
外に出られる掃き出し窓や腰の高さまである腰高窓はマンションでもよく使用されていますね。
メリット
引違い窓のメリットは下記です。
・開口が大きく取れる
・開閉がしやすい
・シャッターを付けられるので防犯性が高い
建築基準法ではLDKや居室となる部屋は
採光・換気・排煙(3階建ての場合)を確保するように決められています。
それらが確保されているかどうか計算を行う際、引違い窓は開口寸法を大きく取れるので有利になります。
日差しをたくさん取り込めて、室内の空気を効率よく入れ替えしてくれる窓ということで
LDKや部屋の窓としてよく使われています。
また、小窓であれば引手に手をひっかけてスライドさせるだけで開閉できるので
手前に洗濯機などの物がある場合に配置することもあります。
ガラス面が壁面から外に飛び出さないので、シャッターや面格子を付けることができて
防犯性を高めることもできます。
デメリット
デメリットは下記です。
・ガラス枠が太いためデザイン性に劣る
引違い窓はガラス面の四方が太い枠に覆われているため、
ガラス面が小さくなりデザイン性に劣ります。
上げ下げ窓
特徴
ガラス面が上下に2枚あり、下側のガラス面を上下に動かして開閉する縦長の窓です。
洋風の建物によく使われている窓で、廊下や部屋の小窓として配置されています。
メリット
上げ下げ窓のメリットは下記です。
・デザイン性が高い
・気密性が高い
上げ下げ窓は洋館等の建築物によく使用されており、
縦長のシルエットが建物の外観のアクセントになります。
建物の外観が洋風であったり、外観にこだわりがある場合は道路から見える位置に配置することがあります。
また、他の窓と比べて戸車などがなく上から降ろす形で閉めるので気密性が高いです。
デメリット
上げ下げ窓のデメリットは下記です。
・故障しやすい
上げ下げ窓は使用しているうちに開けた窓ガラスが下がってきたり、逆に窓ガラスが上がらなくなったりするなどの不調がでやすいと言われています。不調が出たら施工会社に連絡するか、メーカーに問い合わせて対応してもらいましょう。
横すべり出し窓
横すべり出し窓の特徴
ガラス面が1枚で、ガラス面の下部を外側にスライドさせるように動かして開閉する窓です。
洗面所などの水回りの小窓としてよく設置されます。
メリット
横すべり出し窓のメリットは下記です。
・外部からの視線を遮りながら換気ができる
・雨の日でも換気ができる
窓の下側が開くので正面のガラス面で正面の視線を遮りながら、窓を開けることができます。
また、雨が降っていても窓ガラスに当たった雨粒が外部の下に流れ落ちるので
室内に雨が入ってきにくい構造になっています。
そのため、台風や強風が伴う雨でない限り、雨の日でも窓を開けて換気をすることができます。
デメリット
横すべり出し窓のデメリットは下記です。
・換気に時間がかかる
・防犯性に劣る
横すべり出し窓は窓を開けた状態でもガラス面が開口の正面にあるため
室内に取り込める空気が少なく、換気に時間がかかります。
また、ガラス面が壁面から外に飛び出す形で開くため、面格子がつけられず防犯性に劣ります。
防犯性の観点から2階以上に配置することが多いです。
縦すべり出し窓
縦すべり出し窓の特徴
ガラス面が1枚で、ガラス面の左右どちらかを外側にスライドさせるように動かして開閉する窓です。
部屋や廊下の小窓としてよく使用されます。
メリット
縦すべり出し窓のメリットは下記です。
・換気スピードが早い
・デザイン性が高い
縦すべり出し窓はガラス面が横に開くため、ガラス面が建物の横を流れる風をキャッチして効率よく室内に空気を取り込むことができます。そのため換気スピードは他の窓よりも早いです。
また、縦長の窓が建物の外観のアクセントとなり、デザイン性を高めてくれるため
LDKや部屋によく配置されます。
デメリット
縦すべり出し窓のデメリットは下記です。
・外部からの視線が気になる場合がある
・防犯性に劣る
縦すべり出し窓は横すべり出し窓と同じく壁面から外側に飛び出す形で開きます。
そのため、面格子が付けられないので、防犯性の観点から2階以上に設置することが多いです。
また、窓を開く方向からの視線は通りやすいので、特に1階だと外部からの視線が気になる場合があります。
開く方向はできるだけ外部からの目線が気にならない方にするようにした方が無難です。
内倒し窓
特徴
ガラス面が1枚で、窓上部が室内側に倒れるように開く窓です。
洗面所や浴室、トイレに使われることが多い小窓ですね。
メリット
内倒し窓のメリットは下記です。
・防犯性が高い
・外部からの視線が気になりにくい
ガラス面が室内側に開くので外部に面格子を付けて防犯性を高めることができます。
また、窓の上部が開くため外部からの視線が気になりにくいです。
デメリット
内倒し窓のデメリットは下記です。
・窓前に物を置けない
・窓の設置高さに注意が必要
内倒し窓は室内側にガラス面が倒れてくるため
窓前に荷物を置いてしまうと開けられなくなってしまいます。
また、引手が窓上部にあるので窓の設置高さに注意しないといけません。
FIX窓
特徴
ガラス面が1枚で、開閉できない窓です。
外観のアクセントや明り取りに使われることが多いです。
メリット
FIX窓のメリットは下記です。
・デザイン性が高い
・安全性が高い
窓枠が他の窓と比べてすっきりとしているのでガラス面が大きく、デザイン性に優れています。
また、2階以上の部屋に縦長の窓を入れる際には安全上の観点からFIX窓にすることがあります。
デメリット
FIX窓のデメリットは下記です。
・換気ができない
FIX窓は開閉ができないので窓からの換気は必要ないかよく検討しましょう。
まとめ
窓は見落としてしまいがちですが、使い勝手・防犯面・デザイン性などを考慮して検討する必要があります。
実際に暮らしてみて、こうすればよかった!と後悔することがないように、
それぞれの窓のメリット・デメリットを理解しておきましょう。